第18首「住の江の~」藤原敏行朝臣|現代語訳・意味・ゆかりの神社

百人一首

歌札
住の江の
(すみのえの)
岸による波
(きしによるなみ)
よるさへや
(よるさえや)
夢の通ひ路
(ゆめのかよいじ)
人目よくらむ
(ひとめよくらん)

※ 上の句(かみのく)が赤字、下の句(しものく)が青字

現代語訳

住の江の岸に寄せてくる波。その「よる」という言葉のように、夜でさえ、どうしてあなたは夢の中で私のもとへ通う道で、人目を避けているのでしょうか。

歌人

歌人: 藤原敏行朝臣

読み: ふじわらのとしゆきあそん

この歌を詠んだのは、藤原敏行朝臣(ふじわらのとしゆきあそん)です。 藤原敏行は平安時代前期の貴族・歌人で、生年は確定しておらず、9世紀前半ごろの生まれと考えられています。没年は901年または907年とする説などがあり、諸説あります。藤原氏の一族で、父は藤原富士麿。官人として朝廷に仕えながら、歌人としても高い評価を受けました。敏行の和歌には、自然の風景を巧みに取り入れながら、人の感情を繊細に表現する作品があります。

藤原敏行朝臣

ゆかりの地

住吉大社

住吉大社
住吉大社周辺の地図

この歌に登場する「住の江」は、現在の大阪市住吉区・住之江区周辺につながる古い地名です。 住吉大社によれば、「住吉」は現在「すみよし」と読みますが、古くは「すみのえ」と読まれていました。 そのため、第18首の舞台を知るうえで重要な神社として挙げられるのが、住吉大社です。住吉大社は大阪府大阪市住吉区住吉に鎮座し、全国の住吉神社の総本社です。現在も国宝の本殿や反橋などで知られる、大阪を代表する古社です。

基本情報

歌番号 18
歌人 藤原敏行朝臣
歌人読み ふじわらのとしゆきあそん
生没年 生年不詳~901年または907年(諸説あり)
時代 平安時代
季節 なし
都道府県 大阪府
所在地 大阪府大阪市住吉区住吉2丁目9-89

詳細解説

この歌は、会いたい人が夢の中にさえ現れてくれない切なさを詠んだ恋の歌です。

この歌で覚えておきたいのは、「寄る」と「夜」の響きを利用した表現、そして夢の中でさえ会えない恋の切なさです。

「人目よくらむ」の「よく」は「避ける」という意味。

つまり最後の部分には、

「夢の中なのに、どうして人目を避けているのでしょう」

という恋人への問いかけが込められています。

月夜の住の江で波を見つめながら恋しい男性に思いを寄せる女性を描いた百人一首第18首のイメージイラスト

現実では会えない。

それならせめて夢で会いたい。

ところが夢にも出てきてくれない。

そんな恋する人の寂しさを、住の江の波という美しい風景に重ねた一首です。

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