第1首「秋の田の~」天智天皇|現代語訳・意味・ゆかりの神社

百人一首

歌札

和歌

秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ

読み仮名

あきのたの かりほのいほの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ

現代語訳

実りの秋を迎えた田を見守るため、田んぼのそばに建てられた仮小屋(かりほ)で一夜を過ごしている。粗く葺かれた屋根のすき間から秋の夜露がしみ込み、私の袖はすっかり濡れてしまった。

歌人

歌人: 天智天皇

読み: てんじてんのう

天智天皇は626年に生まれ、672年に亡くなった第38代天皇です。中大兄皇子として知られ、乙巳の変や大化の改新に関わり、のちに近江大津宮へ都を移しました。百人一首では巻頭を飾る人物であり、政治の中心にいた天皇でありながら、農民の暮らしを思いやる歌の作者として位置づけられています。

天智天皇

ゆかりの地

近江神宮

近江神宮
近江神宮周辺の地図

この歌にゆかりの深い神社として、滋賀県大津市の近江神宮があります。近江神宮は天智天皇を祀る神社で、近江大津宮跡に鎮座しています。百人一首の第1首を詠んだ天智天皇ゆかりの地として知られ、競技かるたの聖地としても有名です。

基本情報

歌番号 1
歌人 天智天皇
歌人読み てんじてんのう
生没年 626年~672年
時代 飛鳥時代
季節
都道府県 奈良県
所在地 滋賀県大津市神宮町1番1号

詳細解説

 記念すべき第一首の歌は、有名な「秋の田の~」です。これを百人一首の得意札としている人も多いと思います。

 この歌は、上記にあるとおり秋の情景を表し、農作業用の仮小屋にて、夜露に濡れた着物とともに居る状況を描いています。

No001_秋の田の~
No001_秋の田の~

 何気ない情景を描いただけのように見えるこの歌が、なぜ、百人一首に選ばれ「名歌」といわれるのか?それは、文字から伝わるものだけではない、「情報」が見事にあるからです。

解説としてざっくり言えば、つぎの4つの特徴を持ちます。
① 秋の夜の情景が一枚の絵のように浮かぶ
② 「夜露」で秋の寒さまで伝えている
③ 状況だけを記述し、歌の意味は読む人に委ねるという、日本人らしい美意識
④ 天皇が農民の立場に立っている

 ①~③の日本語の美しさはもちろん特徴ですが、この歌は④にあるとおり、天皇が歌っていることに大きな特徴があります。天皇陛下が、これほどに民の視点で歌を詠む、ということに衝撃を受けます
 実際に天智天皇が詠んだかは異論もあるようですが、それはさておき、天智天皇ほどの身分の人が、「かりほ」にて夜露に濡れる作業をしたという庶民の視点で歌を残しています。

 これは、いかに日本の天皇が民に寄り添っているかを示す一つのメッセージとなって、後世の人々に伝えているのです。

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